いつからだったんだろう。
正直、
よく覚えていない。
大きな喧嘩があったわけじゃない。
突然連絡が来なくなったわけでもない。
だから、
気づかなかった。
いや、
気づかないふりをしていたのかもしれない。
何かが変わっていたことに。
前は、理由なんてなかった
前は、
会いたい理由なんてなかった。
「会いたいな」
ただそれだけだった。
仕事終わりの夜。
寝る前。
休日の昼。
本当に何でもないタイミングで、
その言葉は届いていた。
だから私は、
その言葉が当たり前になっていた。
会いたいと思われていること。
ちゃんと思い出してもらえていること。
それが当たり前だと思っていた。
土曜日の夜
今でも少し覚えている。
土曜日の夜だった。
特に予定はなかった。
コンビニで買ったご飯を食べて、
動画を流して、
なんとなく時間を潰していた。
前なら、
こういう日に連絡が来ていた。
「今なにしてる?」
たったそれだけ。
でも、
その一言で予定が変わる夜があった。
スマホを見る。
連絡は来ていた。
でも、
会いたいとは書いてなかった。
何気ない会話だけだった。
その時は言葉にできなかった。
でも、
少しだけ寂しかった。
私から誘うことが増えた
気づけば、
私から聞くことが増えていた。
「今度いつ会える?」
「来週空いてる?」
前は違った。
向こうから予定を聞いてくれていた。
会える日を探してくれていた。
少しでも時間を作ろうとしてくれていた。
でも、
いつの間にか逆になっていた。
それでも私は、
忙しいだけだと思った。
仕事が大変なんだと思った。
そう思うようにしていた。
いや、
そう思いたかった。
最後はいつだったんだろう
ある日、
ふと思った。
最後に
「会いたい」
と言われたのは、
いつだったんだろう。
思い出そうとした。
でも、
すぐには出てこなかった。
先月だったかな。
もっと前だったかな。
分からなかった。
それが少し悲しかった。
大切な言葉だったはずなのに。
待っていた言葉だったはずなのに。
最後の日を思い出せなくなっていた。
本当は分かっていた
たぶん、
分かっていた。
会いたいと言われなくなったこと。
予定を決めなくなったこと。
私の話を覚えていなかったこと。
優先順位が変わっていたこと。
全部。
気づいていた。
でも、
認めたくなかった。
認めたら、
期待できなくなるから。
待つ理由がなくなるから。
信じる理由がなくなるから。
だから、
見ないふりをした。
少しだけ。
少しずつ。
欲しかったのは予定じゃなかった
今なら分かる。
私は、
会う約束が欲しかったわけじゃない。
会いたいと言われたかった。
その一言が欲しかった。
自分から聞く前に、
思い出してほしかった。
必要としてほしかった。
好きでいてほしかった。
欲しかったのは予定じゃない。
安心だった。
ちゃんと大切にされている安心だった。
まとめ
会いたいと言われなくなった日から、
何かが変わった。
でも、
その変化は静かだった。
だから気づけなかった。
いや、
気づいていたのに見ないふりをしていた。
恋が終わる時って、
返信が来なくなる時じゃない。
会えなくなる時でもない。
もっと前から始まっている。
会いたいと言われなくなる。
予定を探してくれなくなる。
少しずつ、
自分の順番が後ろに下がっていく。
そして、
一番寂しかったのは、
会えなかったことじゃない。
会いたいと思われなくなったことだった。
最後にその言葉を聞いた日を、
思い出せなくなってしまったことだった。
たぶん、
あの頃の私は、
ずっとその一言を待っていたんだと思う。
会えなかったことじゃない。
一番寂しかったのは、
会いたいと思われなくなったことだった。
そして、
その変化はもっと前から始まっていたのかもしれない。
そんな夜についてはこちら。


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