連絡が来たら嬉しいと思っていた。
ずっと。
本当にずっと。
だから、
通知が表示された瞬間、
心臓が跳ねた。
見間違いじゃないかと思った。
もう一度見た。
あなたの名前だった。
待っていたはずだった。
何ヶ月も。
何度も。
その瞬間を。
なのに、
嬉しいより先に、
少しだけ苦しくなった。
通知音が鳴るたびに
待っているつもりなんてなかった。
もう終わったことだから。
そう言い聞かせていた。
でも、
コンビニで買い物をしている時。
仕事中。
お風呂上がり。
スマホが光るたびに見ていた。
LINEかもしれない。
そう思っていた。
開く。
違った。
ニュース。
広告。
キャンペーン通知。
そんなことを何度繰り返したか分からない。
期待していないふりをしていた。
でも、
期待していない人は、
通知音に反応しない。
私は反応していた。
ずっと。
トーク画面を開く癖
連絡は来ていない。
それは分かっていた。
でも、
なぜかLINEを開いた。
あなたとのトーク画面を開いた。
最後の会話を見る。
閉じる。
また開く。
何を確認したかったのか、
今でも分からない。
ただ、
開いていた。
既読が付いている最後のメッセージ。
その下の空白。
その空白だけが、
少しずつ長くなっていった。
気づけば、
会話をする時間より、
待つ時間の方が長くなっていた。
来たら戻れると思っていた
どこかで思っていた。
連絡が来たら、
少し戻れるんじゃないか。
また話せるんじゃないか。
前みたいに笑えるんじゃないか。
だから待っていた。
でも、
本当は分かっていた。
連絡ひとつで戻るほど、
簡単な話じゃないことも。
それでも期待した。
期待しない方が楽なのに。
期待しない方が傷つかないのに。
人は、
好きな人にだけ不器用になる。
夜1時23分
その日も眠れなかった。
時計を見た。
1時23分。
スマホを見た。
通知はない。
分かっていた。
それでも、
LINEを開いた。
何も変わっていなかった。
トーク履歴を上までスクロールした。
去年の会話。
もっと前の会話。
「おはよう」
「おつかれ」
「今なにしてる?」
そんな言葉ばかりだった。
今読むと、
何でもない会話だった。
でも、
あの頃の私は嬉しかった。
だから覚えていた。
だから忘れられなかった。
そして連絡は来た
ある日。
本当に来た。
画面に表示された名前を見て、
一瞬息が止まった。
待っていたはずだった。
何度も想像していたはずだった。
なのに、
すぐ返信できなかった。
嬉しかった。
でも怖かった。
また期待してしまうかもしれない。
また前みたいになれると思ってしまうかもしれない。
そんな自分が怖かった。
スマホを握ったまま、
しばらく画面を見ていた。
昔なら、
考える前に返信していた。
何も迷わなかった。
でも、
その時の私は違った。
待つことに慣れてしまっていた。
傷つかないようにすることを覚えてしまっていた。
だから、
嬉しいだけじゃなかった。
待っていたのは連絡じゃなかった
返信はした。
普通に会話もした。
ずっと待っていたはずの時間だった。
でも、
どこか満たされなかった。
不思議だった。
あれだけ欲しかった連絡なのに。
あれだけ待っていた言葉なのに。
なぜか心は静かなままだった。
その時、
少しだけ分かった。
私が待っていたのは、
連絡じゃなかった。
前みたいなあなただった。
用事なんてなくても連絡してきたあなた。
どうでもいい話で笑っていたあなた。
私の変化に気づいてくれたあなた。
私が待っていたのは、
通知じゃない。
あの頃だった。
本当に欲しかったもの
私はずっと、
連絡が欲しいんだと思っていた。
でも違った。
本当に欲しかったのは、
安心だった。
好きでいても大丈夫だと思える安心。
待たなくていい安心。
不安にならなくていい安心。
相手の気持ちを確かめなくても、
信じられる安心。
恋をして苦しくなる時、
失っているのは連絡じゃない。
安心なんだと思う。
だから、
連絡が来ても埋まらなかった。
欲しかったものが、
別のものだったから。
もう期待しない。
そう決めた夜ほど、
LINEを見ていた。
そんな夜についてはこちら。
変わってしまったのは
相手だけじゃなかった。
私も変わっていた。
傷ついた分だけ、
慎重になった。
期待した分だけ、
怖くなった。
前みたいに笑えなくなった。
前みたいに信じられなくなった。
そして気づいた。
連絡が来れば解決すると思っていた問題は、
ずっと前から別の場所にあった。
あの人を待っていたわけじゃない
時間が経って、
やっと分かった。
私は、
あの人を待っていたわけじゃない。
あの人といた頃の自分を待っていた。
未来を信じていた自分。
毎日が少し楽しかった自分。
通知ひとつで笑えた自分。
その自分に戻りたかった。
だから、
連絡を待っていた。
でも、
本当に取り戻したかったのは、
相手じゃなかった。
あの頃の自分だった。
まとめ
連絡が来たら嬉しいと思っていた。
来るまでは。
でも、
本当に欲しかったのは、
連絡じゃなかった。
安心だった。
そして、
取り戻したかったのは、
相手じゃなかった。
あの人といた頃の自分だった。
だから、
連絡が来ても埋まらないものがあった。
だから、
嬉しかったのに少し苦しかった。
もし今、
誰かからの連絡を待っているなら。
その気持ちは、
弱さじゃない。
それだけ本気だったということだ。
それだけ大切な時間だったということだ。
そして、
嫌いになれたら、楽だった。
そんな恋についてはこちら。
▶︎ 嫌いになれたら、楽だった


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